04.26.04:35
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11.13.21:56
その眠りが…
刹+録
シリアス
眠っている刹那と、それを見ている兄貴の独白チックな短文。
刹那のあの寝てるときの体勢に、感じたこと。
…なんか、尻切れトンボな終わり方になった…(汗)
いつも、世界を拒絶するように、何かに怯えるように背を丸めて眠る。
その様がひどく痛々しく見えるのは、俺の思い過ごしでないとほぼ確信している。
初めて出会ったときから、この子供はそうだった。恐らく、その身を置いていた最悪に近い環境によるものだろう。
大概、眠りも浅い。
寒そうだからと布団を掛けるのにさえ目を覚ますことがある有様だ。
それでも、近くに居ても起きないだけ、昔よりかは良くなったのだろう。初めの頃は近くに来ただけでも目を覚まし、その年頃の子供が本来持っているであろう希望も夢も全てが叩き潰された、世界の全てが敵だと思っているかのようにギラギラとした暗い瞳を向けてきていた。
起こさないように気配を殺しながらベッドに歩み寄って、その脇に膝を付く。そして、そっとあちらこちらが跳ねた髪を撫でた。
彼には珍しく眠りが深いのか、その規則的な呼吸音には変化がない。
小さく安堵の息をもらしてから、そっと記憶の糸を辿って降りていく。聞いてそして眠りに落ちた、子守唄を探して。
それをどうにか探し出し、潜めた声でメロディーをなぞっていく。多少音程が違うような気もしたが、気にしないことにした。
一つの願いを込めながら、ゆっくりと口ずさむ。
どうか、彼の眠りが少しでも長く、穏やかであるように、と―――。
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