03.28.22:24
[PR]
12.23.01:26
お昼寝
「idiom」宅でのチャットのおだひ。
自分で提案したヤツを、物の見事に踏みつけました(苦笑)
場所設定は、どこぞのマンションとかでお願いします。時間軸はちょと未来で。
コーヒーと紅茶の匂いが等分ずつ、部屋の中に漂う。コーヒーはロックオンの脇に置かれた、生クリームのフロートが乗ったグラスから、紅茶はアレルヤの前に置かれたティーカップから。
キュッ、キュッ、とロックオンの手元から音がしている。柔らかそうな布でハロを磨いているのだ。
「…あ、ここ傷が付いてんぞ。どっかで引っ掻いたか? このミッション終わったら、おやっさんとこで直してもらおうな」
「ナオス、ナオス!」
気持ちよさげに耳をぱたぱたさせたり、目を点滅させたりしているハロを、なんとなく羨ましげな目で見やっているのは、少し離れたところでソファの上、クッションを抱えこんでいるアレルヤである。片手でクッションを抱え、もう片方の手はティーカップの横にあったブランデーのボトルを取って半分ほど飲んである紅茶に投入している。むしろ、注がれる量を見る限り、最早紅茶入りブランデーと称した方が正しそうだ。
ロックオンはアイリッシュコーヒーから分かるように、ウイスキーの方を好むらしいが、飲酒歴がまだ短いアレルヤには、果実酒より作られたブランデーの方が口に合うのである。それでも、紅茶に入れるのは普段は数滴が良いところであることを考えれば、今の状況を鑑みるに、入れすぎであることは確かであろう。
すっかりと紅茶の紅さが失われた液体を見下ろしてから、おもむろに口に運ぶ。ブランデーのアルコールが喉を灼いた。宇宙で二十歳を迎え、スメラギと、氷で飲んだ時ほど鮮烈ではないが、酔いが体に回っていくのが分かる。
ティーカップの中身が空になった。少し、気分が大胆になって、ブランデーを今度は生のままカップに注ぐ。
三杯ほど一気に飲んだところでアレルヤは、ロックオンがハロを磨く手を休めて自分を何処か心配そうな眼差しで見ていることに気付く。磨く合間に飲んでいたのか、グラスはほんの少し生クリームの筋が残っているだけだ。
「…そんな一気に飲んで、大丈夫か?」
「大丈夫…です」
呂律が回らなくなりかけて、少し間を置いてから冷静を装って答える。
「ヨッパライ、ヨッパライ」
ピコピコ耳を動かすハロ。
「僕は、酔っぱらいじゃ、ない…」
そう言っている傍らで、アレルヤの身体はクッションを放り投げ、机を乗り越え、ブランデーの瓶を蹴倒すという奇行をしでかしている。完全に、酔っている者の行動だ。幸い瓶の中身はほとんど無くなっていたので、被害は机の上だけに留まった。
「っわ、おい…ッ!」
酔いからか、珍しくべったりと張り付いてきたアレルヤにロックオンが慌て、二人の間に挟まれたハロがクルシイ、イタイ。を連呼する。
「ロックオン、良い匂い…」
ロックオンの肩に顔を埋め、きゅ、と抱きつく力を強めたかと思えば、アレルヤが動かなくなる。すわ、急性アルコール中毒か?! と慌てるロックオンの耳に届いたのは、健やかな寝息だった。ずる、と体から力が抜ける。
寝ている人間は重い。しかも、体重がそう変わらないとなれば、尚更。どうにか体勢を変えようとするのだが、がっちり抱え込まれている。先ほどのクッションを持っていたのと、ほぼ似たような体勢だ。
「おいおい…これじゃ動けねぇじゃねえか」
呆れたように苦笑しながら、間に挟まっていたハロを引っ張り出す。
「相棒、俺どうすりゃいいかね~?」
「マツ、アレルヤ、オキル、マツ!」
「……しかない、か」
アレルヤの寝息を聞いている内に、ロックオンもつられて眠くなってくる。グラスをどうにか机の上に置いたところで動くのは一杯一杯で、床に腕が、軽く音を立てて落ちた。
「悪ぃな、ハロ。磨くのの続きは起きて…から………」
瞼が落ちて、とろんと眠気に蕩けた翠の瞳が隠れる。
部屋の中に、コーヒーと紅茶の香りの代わりに、二つの寝息が重なる。ハロは耳をぱたぱたさせてからロックオンに寄り添って電源を低出力モードに移行させ、人間的に言うのなら眠りの状態に就いた―――。
自分で提案したヤツを、物の見事に踏みつけました(苦笑)
場所設定は、どこぞのマンションとかでお願いします。時間軸はちょと未来で。
コーヒーと紅茶の匂いが等分ずつ、部屋の中に漂う。コーヒーはロックオンの脇に置かれた、生クリームのフロートが乗ったグラスから、紅茶はアレルヤの前に置かれたティーカップから。
キュッ、キュッ、とロックオンの手元から音がしている。柔らかそうな布でハロを磨いているのだ。
「…あ、ここ傷が付いてんぞ。どっかで引っ掻いたか? このミッション終わったら、おやっさんとこで直してもらおうな」
「ナオス、ナオス!」
気持ちよさげに耳をぱたぱたさせたり、目を点滅させたりしているハロを、なんとなく羨ましげな目で見やっているのは、少し離れたところでソファの上、クッションを抱えこんでいるアレルヤである。片手でクッションを抱え、もう片方の手はティーカップの横にあったブランデーのボトルを取って半分ほど飲んである紅茶に投入している。むしろ、注がれる量を見る限り、最早紅茶入りブランデーと称した方が正しそうだ。
ロックオンはアイリッシュコーヒーから分かるように、ウイスキーの方を好むらしいが、飲酒歴がまだ短いアレルヤには、果実酒より作られたブランデーの方が口に合うのである。それでも、紅茶に入れるのは普段は数滴が良いところであることを考えれば、今の状況を鑑みるに、入れすぎであることは確かであろう。
すっかりと紅茶の紅さが失われた液体を見下ろしてから、おもむろに口に運ぶ。ブランデーのアルコールが喉を灼いた。宇宙で二十歳を迎え、スメラギと、氷で飲んだ時ほど鮮烈ではないが、酔いが体に回っていくのが分かる。
ティーカップの中身が空になった。少し、気分が大胆になって、ブランデーを今度は生のままカップに注ぐ。
三杯ほど一気に飲んだところでアレルヤは、ロックオンがハロを磨く手を休めて自分を何処か心配そうな眼差しで見ていることに気付く。磨く合間に飲んでいたのか、グラスはほんの少し生クリームの筋が残っているだけだ。
「…そんな一気に飲んで、大丈夫か?」
「大丈夫…です」
呂律が回らなくなりかけて、少し間を置いてから冷静を装って答える。
「ヨッパライ、ヨッパライ」
ピコピコ耳を動かすハロ。
「僕は、酔っぱらいじゃ、ない…」
そう言っている傍らで、アレルヤの身体はクッションを放り投げ、机を乗り越え、ブランデーの瓶を蹴倒すという奇行をしでかしている。完全に、酔っている者の行動だ。幸い瓶の中身はほとんど無くなっていたので、被害は机の上だけに留まった。
「っわ、おい…ッ!」
酔いからか、珍しくべったりと張り付いてきたアレルヤにロックオンが慌て、二人の間に挟まれたハロがクルシイ、イタイ。を連呼する。
「ロックオン、良い匂い…」
ロックオンの肩に顔を埋め、きゅ、と抱きつく力を強めたかと思えば、アレルヤが動かなくなる。すわ、急性アルコール中毒か?! と慌てるロックオンの耳に届いたのは、健やかな寝息だった。ずる、と体から力が抜ける。
寝ている人間は重い。しかも、体重がそう変わらないとなれば、尚更。どうにか体勢を変えようとするのだが、がっちり抱え込まれている。先ほどのクッションを持っていたのと、ほぼ似たような体勢だ。
「おいおい…これじゃ動けねぇじゃねえか」
呆れたように苦笑しながら、間に挟まっていたハロを引っ張り出す。
「相棒、俺どうすりゃいいかね~?」
「マツ、アレルヤ、オキル、マツ!」
「……しかない、か」
アレルヤの寝息を聞いている内に、ロックオンもつられて眠くなってくる。グラスをどうにか机の上に置いたところで動くのは一杯一杯で、床に腕が、軽く音を立てて落ちた。
「悪ぃな、ハロ。磨くのの続きは起きて…から………」
瞼が落ちて、とろんと眠気に蕩けた翠の瞳が隠れる。
部屋の中に、コーヒーと紅茶の香りの代わりに、二つの寝息が重なる。ハロは耳をぱたぱたさせてからロックオンに寄り添って電源を低出力モードに移行させ、人間的に言うのなら眠りの状態に就いた―――。
PR
- トラックバックURLはこちら