03.28.20:51
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11.20.08:35
七話から捏造(ver.ハロック)
シリアス(ダーク…?)とややほのぼの。
七話の兄貴の「憎くて悪いか」台詞から、ガリガリと捏造。もっと救いの無い方向で書きかけて、さすがに止めました。
続く…というか、同系列で他カプで書くかも(基本繋がりは無しの方向で)
やっぱりロク兄はハロには無条件で弱いところとか見せちゃうのかな、って。こういとき、相棒とか、一番過ごす時間が長いだろうっていうのは強みだなー、と思います。
タイトルは………さすがにどうだろこれ、って思ったので(逆に手ェ抜いた)
良いのが思いついたら変えます。
……………………………だ……
(なんだ……?)
…………ま………だ……
(よく……聞こえない…)
―――嘘だ。何を言われているのかは、本当は分かっている。言っている相手も。
そう思った途端に、声が鮮明となった。
「お前が、殺したんだ」
目の前に、今の自分よりずっと幼い子供がいる。同じくガンダム乗りの、年の割に幼く見える少年よりもまだ幼い――。
澄んで澱んで、自責に復讐に、燃え上がって同時に凪ぎきっている、子供らしからぬ瞳。灰色を帯びたようにも見える濁った碧い、色。
衝撃なんて生易しいものではない。驚愕ほど意外も無い。
意識が、叩き落とされた…。
やけにうるさいと思ったら、それは自分の悲鳴だった。
ベッドの上に上半身を起こせば、目に冷たい物が入ってくる。額に触れれば、髪が肌にべったりと張り付いていた。
脳裏にフラッシュバックする光景。
爆発したトラック。爆風に吹き飛ばされ、呻き苦しむ人々。原形を留めていない亡骸。
決して忘れ得ない、あの、忌まわしき日。
父と母と、生まれてくるはずだった弟か妹を、目の前で永遠に喪った時。
休日で、人がごった返していた街中での、凶事………。
唇が、弱い自分に向けるかのように引きつり歪んだ。
横で、海水を拭き取られたハロは自ら機能を凍結しているのか、あの悲鳴にもぴくりとも反応した様子はない。それとも、センサーで自分の異変に気付いた上で敢えて機能停止を装っているのか。
そっと、手を伸ばす。冷たい表面をゆっくりと撫でれば、目に当たる部分がピカピカと光った。
「マダヨル、マダハヤイ」
「あぁ…そうだな」
「ロックオン、ネムレナイ、ネムレナイ」
断定系の言葉だったが、最後の音が少し、普通よりも高かった。疑問の形にしようとして失敗してしまったのだろうか。高性能AIにしては、らしくない。
「慰めてくれるのか?」
ほんの少しだけ、笑みがこぼれ落ちるように浮かんだ。不思議だ。嗤いではない笑いを、もう浮かべることができる。ひょい、とオレンジ色にカラーリングされた相棒を抱き上げれば、内部に搭載された機械の影響か、仄かに温かかった。その温もりが、何故だかひどく優しくて、安心する。
「ありがとな、相棒」
「ドウイタシマシテ。ロックオン、ゲンキデタ、ゲンキデタ」
お礼の意味も込めて、その丸いフォルムにそっと唇を押し当てた。
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